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エメラルド・アイ
犯罪組織に殺された少女がサイボーグとなって組織に復讐する
SF学園小説
エメラルド・アイ連載用ブログ
 ブログサイトに先行して作品を掲載して、完成後、魔法のiランドを利用して作品を管理することになりました。
 第1部はPDF版も製作しました。

☆更新情報
2009/6 エメラルド・アイ2第1話から28話のPDF版をアップしました。

第1部 PDF版
タイトル リンク
序章
 ある夜、犯罪組織の施設を脱走した八十神忠士は、施設の塀を乗り越え、塀の反対側で待機していた刑事・相沢響子の車に乗り込み、逃走する。
 しかし、その途中、待ちかまえていた白髪に赤い目のサイボーグ少女レッド・アイにより、相沢が倒れ、八十神も負傷する。
 レッド・アイの追跡を振り切った八十神は車内で気を失いかけていたところをアルバイト帰りの女子高生・日高裕美に助けられ、彼女の自宅で手当を受ける。
 しかし、その矢先、逃走時に持ち出したバッグの中に発信器が仕込まれていることに八十神は気づく。玄関の呼び鈴の音で玄関に応対に出た裕美を止めようと廊下に出た時、銃声の音と共に裕美が倒れ、レッド・アイが現れる。
 隙をつきレッド・アイを自爆に追い込んだ八十神は、重傷の裕美を抱え、家を出るのだった。
第1章 女子高生連続失踪事件
 八十神が組織の研究施設から脱走して、一年後。
 女子生徒の謎の失踪事件に続く桜華学園に日高裕美が訪れる。校舎の玄関口で遅刻してきた少年・久坂智也と出会い、彼女は転校生だと言って、名乗る。
 一時間目の終了後、裕美は再び智也の前に現れ、校内の案内を依頼。智也の姉で生徒会長の喜美子も同伴する。

 深夜、智也と喜美子は謎の追跡者に追いつめられた女性を救出する。彼女の名は弘田香奈子。入院先の病院で何者かに誘拐されかけたところを逃げてきたのであった。
 彼女の希望を聞き、喜美子の反対を押し切って、智也は香奈子を家で保護することを決める。

 翌日、一人で学校に登校した喜美子は、裕美が転校生でないことを知り、校内で彼女を捜す。体育館裏で裕美を発見した喜美子は彼女を追及するが、逆に裕美からこの場所での殺人事件の痕跡を指摘され、この学園で起こる女子生徒の失踪事件の捜査協力を求められる。
 その夜、喜美子と智也は、裕美と共に学園内に忍び込み、クラブ棟裏の焼却場を張り込む。
第2章 サイボーグ少女
 焼却場での事件から六日後。
 朝の駅のホームで喜美子は組織のサイボーグに脅され、刑事である喜美子の父親が手配した香奈子の転院先の病院の場所を話してしまう。
 その直後に喜美子は電車が来たホームから線路に突き落とされるが、駆けつけた裕美に救われる。

 喜美子から事情を聞いた裕美はすぐに香奈子の入院する山岡中央病院へ向かうが、病室では組織のサイボーグによって香奈子は連れ去られようとしていた。裕美は八十神忠士との人質交換を申し入れ、取引の約束をする。

 深夜、横浜海浜公園での取引で、裕美はサイボーグ四人を撃退し、香奈子を救出。アジトで香奈子と八十神は七年ぶりの再会を果たす。そこで八十神は、一年前、自分のせいで犠牲となり、サイボーグ手術を行って、蘇らせた裕美を香奈子に紹介する。

 八十神はホテルで八十神の叔父で警察庁長官である秦野弘幸と会う。秦野は一年前、八十神から組織から脱出する際、極秘に相沢刑事を遣わした人物であった。
 八十神は秦野にこれまでの経緯を話した。七年前、自分を誘拐した人物は黒須和馬という男。黒須は一八年前、世論を敵に回してクローン人間を生み出し、学会から追放された科学者である。彼は自殺を装って、姿を消し、海外に渡って、自身の技術による臓器売買で資金を得て、犯罪組織を結成。政府を転覆させるためにクローン・サイボーグ兵士の大量生産を行い、同時に新しいサイボーグ製造のために桜華学園を人体実験の場にしている。そして、八十神自身も機械医学の科学者としてサイボーグ開発を手伝わされていたというのだ。
 秦野には、にわかに受け入れがたい話であったが、八十神は秦野に香奈子を預ける約束をし、その場を去る。

 翌日、喜美子は図書館で訪ねてきた裕美と再会し、香奈子に謝罪するためにもう一度会わせてくれるよう頼み込む。喜美子の熱意に裕美は渋々承諾する。

 その夜、秦野のいるホテルに裕美をボディガードに香奈子を連れていった八十神は、そこで銃を持った組織の殺し屋の襲撃を受ける。裕美の活躍で危機を防いだものの、秦野に対し不信感を抱いた八十神は香奈子を連れ帰る。

 三日後、八十神のアジトで香奈子は裕美が連れてきた喜美子と智也と再会。喜美子が香奈子に謝罪し、二人が和解するのもつかの間、突然、智也が裕美を銃で撃ち、喜美子たちにも銃口を向ける。

 その後、アジトに戻った八十神に起こされ、目覚めた裕美は、八十神から香奈子と喜美子が八十神との人質交換のために組織に誘拐されたことを知る。

 黒牙渓谷の山荘では、喜美子と香奈子が監禁されていた。そこに組織の科学者、高宮あゆみと組織に操られた智也が現れる。操られた智也にキスまでされ、絶望的になる喜美子であったが、香奈子は喜美子を励まし、脱出のチャンスを待つ。
第3章 野望と崩壊
 弘田香奈子の死から三日後。
 秦野は桜華学園の研究棟を訪れ、そこで待っていた黒須和馬に訣別を宣言する。秦野はかつて娘の和美の臓器移植を黒須の組織に頼ったことを脅され、協力させられていたのだ。

 翌日、ファースト・フード店に喜美子を呼びだした八十神は、来週の月曜日に行われた桜華学園の社会科見学を利用し、全校生徒を洗脳装置で操り、各省庁を一斉占拠するクーデター計画を組織が企んでいること、そして、女子生徒の連続失踪事件は組織がサイボーグ用の人体集めのためであったことを喜美子に伝える。

 喜美子からその話を聞いた智也は、生徒の全員に真相を伝えるため、喜美子の反対を押し切り、放課後、桜華学園の視聴覚室に生徒会代議員全員を集め、一連の組織の犯行を知らせようとする。
 しかし、突拍子もない話に生徒からの理解は得られず、全員が部屋を出る。その直後、視聴覚室が閉鎖され、喜美子たちは閉じこめられ、さらに天井から二体のサイボークが現れる。
 絶体絶命の危機に裕美がドアをぶち破って、現れ、喜美子たちを救う。

 その夜、帰宅した秦野の身にも危険が迫っていた。組織の洗脳装置を取りつけられた和美が組織を裏切った秦野を狙っていたのだ。
 そんな時、八十神が秦野家を訪ねる。
第2部
*PDF版はフォント埋込みをしていないので、MS明朝がOS内にインストールされていない場合、うまく表示できない場合があります。
タイトル PDF版 リンク
第1話 暴走族  
 桜華学園を拠点とした黒須和馬の組織による首都制圧未遂事件から数ヶ月後。
 桜華学園は閉鎖され、久坂智也と喜美子は転校先の文月高校で高校三年生を迎えていた。日高裕美は智也と結婚し、表向きは智也たちの姉として一年留年という形で文月高校に通うことになった。
 しかし、裕美は黒須を倒した後も依然、組織の影を追っていた。
第2話 秘密通信
 自宅に届いた謎の手紙で区民図書館を訪ねた裕美は、そこのネット端末で一人の男と会話をする。その男は、名乗らず、かつて黒須和馬の組織に捕まり、八十神と共に仕事をしていた科学者だとだけ告げた。彼は黒須の死後もクローン人間が作られた可能性があることを指摘。まだ、組織が活動していることをほのめかす。
第3話 鉄の誓い
 二人の娘と妻を持つ中年会社員・白崎寿文は余命半年を医者に宣告され、絶望の淵にいた。白崎は家庭から職場からも疎まれた存在で、誰にも病気のことを告げていなかった。
 そんなある夜、満員電車で若い男にぶつかったことから、因縁をつけられ、駅のホームで激しい暴行を受ける。
第4話 復 讐
 ある日曜日、久坂智也、喜美子、裕美は智也たちの母・絹代の墓参りに青原霊園を訪れる。絹代は八年前のクリスマスの夜、自分を捕まえた刑事の久坂を逆恨みし、自宅に押しかけてきた猟奇殺人犯・藍田重三に殺害されたのだ。
第5話 変わり日
 コンサートの切符に釣られ、裕美の代わりに裕美に変装して学校の身体測定を受けることになった喜美子。裕美として学校生活を過ごすことで裕美の気持ちを理解した気になる喜美子だったが、その直後、裕美に怨みを持つ不良生徒たちに騙されて屋上に呼び出され、さらに裕美を狙う組織の刺客・甲虫人間にまで襲われる。
第6話 恋 人
 友人と渋谷へショッピングに出かけた喜美子はそこで偶然、仲良さそうに店を出てくる智也と智也のクラスメイト、水瀬初美の姿を目撃する。それとなく自宅で裕美に報告した喜美子だが、裕美は素っ気ない態度を取る。
 翌日、図書室にいた裕美に何も知らない智也が声をかけ、話していた時、偶然、喜美子と生徒会長の塚原が仲良く話しているのを目撃する。
第7話 誘 惑
 水瀬初美が行方不明となって四日。繁華街で初美の行方を捜していた裕美と智也は歩道で真っ青な顔で立ち尽くしている初美を発見し、救急車を呼ぶ。
 意識を失った初美を救急車に乗って病院まで付き添い、初美の母に身柄を預け、安心して自宅に戻った智也たちだったが、深夜、初美の母から、初美が意識を取り戻し、病室で暴れているという電話を受ける。
第8話 悪 夢
 8年前に自分たちを庇って殺人犯・藍田に殺された母の事件を未だに引きずり、時折、悪夢にうなされる喜美子。さらに告白され、交際を始めた塚原が組織に改造された豹人間として正体を現し、自分を襲ったことで人間不信に陥っていた。
 一方、組織に改造され蜂人間として智也を一度は襲った初美も再び智也に狙いを定めていた。
第9話 感 情
 裕美の優しさに触れ、裕美に好意を持ち始めていた喜美子。そんな折り、裕美は感情面が表に出ていることを智也に指摘され、兼ねてから気にかけていた装置による自身の感情コントロールが効かなくなっていることに不安を抱き、久坂家を出る覚悟をする。
第10話 監 禁
 初美の裏切りで組織に捕まった裕美は林の奥にある組織の山荘に監禁される。初美から裕美が監禁されたことを聞いた智也は喜美子と共に山荘へ向かうのだが……
第11話 電光剣の少女
 深夜、港で行われた組織のクローン人間の密輸取引の最中、上空から飛んできた無数の光る矢が組織の人間や密輸業者らを襲う。組織のスパイとして潜り込ませていた時任を救おうと現れた裕美に光の剣を持つ黒装束の女が飛びかかる。
第12話 キラー・カイト
 連射アローを装備した空中兵器キラー・カイトで時任を始末した謎の少女、秦野和美。文月高校に転校してきた彼女は組織への復讐を誓い、時任を殺したことを裕美に話す。そして、彼女は次なる標的を初美に定めていた。
第13話 魔犬グラウヴァー
 呼び出された雑居ビルの個室ビデオ店の一室で、組織のカーマ博士と名乗る女から、かつて八十神と共に組織を脱出した鷲田医師を助けたければ、対サイボーグ用戦闘犬グラウヴァーの待つ夢泡ヶ原の森に来いと言う挑戦のビデオ・メッセージを裕美は受け取る。
 一方、雑誌の『黄金の十字架探検』ツアーに友人の深山里佳と参加した喜美子は夢泡ヶ原の森の中で巨大な殺人犬に追われ、逃げ惑っていた。
第14話 魔犬と液体人間
 魔犬の追跡で里佳を途中で置き去りにし、森の奥の教会に逃げ込んだ喜美子、流牙ミナトと流牙ミユ、本橋の四人。しかし、三人は教会の地下室に潜んでいた謎の液体人間に体を吸収され、最後の一人、喜美子の身にも危険が迫っていた。
第15話 記 憶
 魔犬グラウヴァーとの戦いで致命的なダメージを負った裕美は、サイボーグ時の記憶を失い、記憶制御装置が解除されて、普通の人間だった頃の記憶に戻っていた。
 八十神亡き今、裕美の機械の体を治療できる人間がいないため、裕美の命は後僅かであった。裕美を救うため、喜美子は和美に武器を提供する謎の科学者とコンタクトを取ろうとする。
第16話 訣 別
 覆面をした謎の科学者と手術室で対面を果たした裕美。裕美は死んだはずの八十神かもしれない科学者に会うためにわざとダメージを負ったのであった。八十神への想いから、科学者の仲間になりたいという裕美に科学者は裕美に一つの指令を出す。
第17話 目 撃
 ある夜、裕美は秘密のアジトとして裏で経営するホテルの室内に、女を使っておびき寄せた組織の臓器売買のブローカーをモニタールームで監視していた。その際、別の部屋に喜美子の父・久坂孝則と若い女性が来ているのを発見する。ふたりは恋人同士の関係であった。
 裕美は久坂と女の映像を録画し、自宅で喜美子には内緒で智也に見せる。
第18話 死のメッセージ
 生徒会長室の大掃除を智也としていた喜美子は偶然、元生徒会長・塩谷鶴子のレポート用紙を発見する。裏映りした文字を鉛筆でこすって、浮かび上がらせると、そこには〈古屋先生、助けて。このままだと、殺される〉というメッセージが書かれていた。しかし、鶴子は二年前に学校で飛び降り自殺し、亡くなっていた。
 事件に興味を持った喜美子は、一人で事件を調査を始めるのだが……
第19話 警 告
 組織の洗脳プログラムに操られ、危うく自殺するところを和美に助けられた件で、喜美子は食堂で和美に礼を言うが、逆に裕美に助けられてばかりいる喜美子の無力さを指摘にされる。屈辱感を覚えた喜美子は翌朝、学校で柔道着姿で和美に柔道勝負を挑む。
第20話 水中の墓標
 和美に殺された初美は裕美の手術によってサイボーグとなって復活。そして、覆面博士を裏切った和美も久坂家に住むことになり、裕美の部下となった。
 そんなある夜、密漁船でやってきた組織のスポンサーであるドイツの武器商人モーリッツ・フォン・リヒターを港で出迎えた組織の幹部の前に裕美が現れるが、リヒターの手下のアンドロイドの前に返り討ちにあってしまう。
第21話 決 意
 組織に改造手術を受ける前の記憶を取り戻し、サイボーグになっても記憶制御と感情抑制を行わなかった初美は、前の性格を嫌っていたために喜美子たちの前ではまだ改造された頃の人格を装っていた。そんな初美の気持ちを知らず、智也は初美の親友の小野寺香澄を遠ざけたりしたことを怒っていたが、買い物袋を持つのを手伝ってもらった喜美子は彼女の様子に薄々気づき始めていた。
第22話 電撃怪人
 白昼、ビルで待ち合わせをしていた男が事務員が応対した電話を受け取って、電話に出た直後、突然、感電死した。久坂たち警視庁捜査一課の刑事が現場に駆けつけると、今度は別の場所でも似たような感電死事件が発生。事件の前にはいずれも電撃怪人と名乗る者からファックスで警察署に犯行予告が送られていた。
第23話 揺れる心
 文月高校の一学期終業日、智也たちとゲームセンターに行った帰り道、初美は公園で香澄から、智也を巡って宣戦布告を受ける。
第24話 謎の女
 大学病院の死体安置室で、久坂刑事と谷中刑事は監察医からS川下流で発見された首のない全裸死体の検死結果の説明を受ける。
第25話 素 性
 プロ野球ドラフト候補ナンバー1のR大学の内野手・朝井将人が恋人を殺害したというタレコミ電話を受けた久坂刑事。電撃怪人事件の被害者・山森の失踪に絡み、朝井の恋人が失踪前に山森が会った女性と似ていたことから、朝井に事情を聞くべく、相棒の白木亜里砂と共にR大学に向かう。
第26話 黒 幕
 R大学野球部のマネージャー、桑原祐里子のアパートを谷中刑事が訪ねる。谷中は朝井が恋人を殺したと疑い、朝井の本当の恋人である祐里子に取り引きを持ちかける。
第27話 ユミちゃんランド
第28話 暗闇ライダー
第29話 暗殺者
第30話 決 戦

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written by masaki fukutomi
登場人物
日高(久坂)裕美 裕美(眼鏡ver.)
 高校生。組織のアジトから脱走した八十神博士をかばったため、組織の追っ手に殺されるが、博士の手でサイボーグ手術を受け、復活。  自らの声によってパワーセーブを解除すると、髪と目の色が青緑色に変わり、高熱のエネルギー膜に覆われ、無限のパワーを発揮する。  桜華高校にあった組織のアジト壊滅後、智也と結婚。表向きは姉弟として智也と高校へ通う一方、組織の残存勢力を追っている。
久坂喜美子 久坂智也
 智也の双子の姉。生徒会長。裕美への協力に否定的だが、智也と裕美の行動に巻き込まれてゆく。  成績学年二位で柔道初段の腕前だが、子供の頃に母を殺人犯に殺され、トラウマを背負っている。  高校生。女子生徒が次々と失踪している学園を調べるために潜入した裕美に協力する
八十神忠士 黒須和馬 水瀬初美
 機械医学の権威。組織に誘拐され、人間のサイボーグ化を手伝わされていた。  機械化クローン人間兵士を大量に造り出し、日本を支配しようとする組織の首領。  智也のクラスメイト。組織に誘拐され、改造される。
久梨原綾 高宮あゆみ 久坂孝則
 裕美の部下。学生時代に八十神に機械化手術を受ける。  組織に誘拐された科学者。後に組織の幹部となる。  警視庁捜査一課刑事。久坂喜美子たちの父。
秦野和美 羽鳥美沙子 谷中惺
 秦野警察庁長官の娘。組織に操られ、両親を殺害。  新聞記者。久坂の恋人。  警視庁捜査一課の若手刑事。久坂の同僚。
弘田香奈子 レッド・アイ 柄沢敦樹
 八十神の婚約者。余命数ヶ月。組織に命を狙われる。  組織の量産型クローン人間サイボーグ。白髪の赤目が特徴。  裕美の幼馴染み。
三塚美宇 モーリッツ・フォン・リヒター 津末
 裕美の幼馴染み。柄沢の恋人。  ドイツの武器密輸組織のボス。黒須の組織のスポンサー。  警視庁捜査一課のベテラン刑事。
小野寺香澄 塚原 久坂絹代
 智也のクラスメイト。初美の親友。  生徒会長。  喜美子たちの母。
改造人間/サイボーグ
エメラルド・アイ
 八十神博士が組織の追っ手に殺された日高裕美に機械化手術を行い蘇らせたサイボーグ。型名αV。八十神博士が組織からの脱走の際に持ち出した無限動力ユニットが内蔵されているのが特徴。常時電力を供給できるため、内部機器の充電や電池交換の必要性がない。
 パワーセーブを解除すると、背部からエネルギー・コートが射出され、裕美の体を覆う。その際、髪の色と瞳が青緑色となる。エネルギー・コートの表層部にエネルギーを大量供給させることで、高熱を発生させ、武器とする。エネルギー・コートを解除し、ヘソにある端子にケーブルを繋いで電子銃や電子長刀を武器として使用することも出来る。
 裕美の声による声紋認識でパワーセーブのオン/オフを行っているため、裕美自身の声を発生できなくさせられると、危機に陥ることもあった。
 こめかみにあるバイオ・ケーブルは端子の形状に関係なく、生物の体やコンピューターに接続でき、DNA操作やハッキングなどを可能とする。
 両目はカメラとなっており、望遠、オートフォーカス、サーモグラフや暗視機能、レントゲン機能も装備している。常時、内部記憶ディスクに録画している。また、目から見た物、人から聞いた言葉は瞬時にキーワード化され、内部記憶ディスクのデータベースに収納される。
 人間のように嗅覚や味覚はないが、センサーで補っている。
 腕力やキック力はパワーセーブ・オン時でもコンクリートを破壊する力を持つ。皮膚は自己修復型の皮膚で衝撃吸収性がある。
 足は伸縮可能で背の高さを変えることも出来る。
 普段は耐久力の高いボディを使用しているため、体が重く、走ったり、避けたりなどの俊敏な動きは苦手。そのため、相手の動きを予測しつつ、相手の攻撃をガードすることが多い。
 そのことで敵から時には大きなダメージを受けたり、敵に逃げられても追えないことがある。
 ただ状況に応じて、手足を交換でき、水中探査の際には手足を軽量ボディに交換する。
 普通の食事は擬似的に行うことが出来るが、喉から食堂を通った物は全て体内の貯蔵庫に納められて、溶解し、後でチューブで排出する。本来の栄養補給は、口の中にある栄養剤投入口にストローの口を差し込み、栄養剤を飲むことで行っている。
 生殖器官はないが、智也のために擬似的な性器を備えている。
 裕美は八十神の死後、自分でかなりの改造を加えているため、オリジナルとなる部分は脳のみとなっている。
レッド・アイ
 組織の製造したサイボーグ。型名αT型。量産型のクローン人間で急速成長装置で16歳程度まで成長させた上で機械化手術を施す。赤い目と白髪が特徴。弾丸を貫通させない耐久性とコンクリートの壁を貫くパワーを持つ。身体に危険が及ぶと秘密保護のため、自爆装置で働く。こめかみ部分にも自爆装置を備え付けている。急速成長装置を利用しているため、保存状態から目覚めさせると、生命維持期間は約半年となる。
(登場話/エメラルド・アイ第1部)
アクア・アイ
 組織の製造したサイボーグ。型名αU型。水色の髪と瞳が特徴。組織が桜華学園の生徒の健康診断のデータからピックアップした生徒・日比野智香を誘拐して、サイボーグ手術を行い、戦闘洗脳プログラムを流し込んで、造り上げた。裕美に焼却炉で倒される。
(登場話/エメラルド・アイ第1部)
アンバー・アイ
 組織の製造したサイボーグ。型名αU型。琥珀色の髪と瞳が特徴。組織が桜華学園の生徒の健康診断のデータからピックアップした生徒・北野留美を誘拐して、サイボーグ手術を行い、戦闘洗脳プログラムを流し込んで、造り上げた。サイバー・ホイップという電流の流れる鞭を持ち、左手はアタッチメントで、内蔵型の銃やミサイルに交換できる。何度も裕美と交戦するが、最後に体育館で裕美に倒される。
(登場話/エメラルド・アイ第1部)
モーブ・アイ
 組織の製造したサイボーグ。型名αU型。紫色の髪と瞳が特徴。組織が桜華学園の生徒の健康診断のデータからピックアップした生徒を誘拐して、サイボーグ手術を行い、戦闘洗脳プログラムを流し込んで、造り上げた。八十神と共に墓地で爆死。
(登場話/エメラルド・アイ第1部)
カナリー・アイ
 組織の製造したサイボーグ。型名αU型。黄色の髪と瞳が特徴。組織が桜華学園の生徒の健康診断のデータからピックアップした生徒・中藤陽子を誘拐して、サイボーグ手術を行い、戦闘洗脳プログラムを流し込んで、造り上げた。視聴覚室で裕美に倒される。
(登場話/エメラルド・アイ第1部)
マゼンタ・アイ
 組織の製造したサイボーグ。型名αU型。赤紫色の髪と瞳が特徴。組織が桜華学園の生徒の健康診断のデータからピックアップした生徒・黒川久美を誘拐して、サイボーグ手術を行い、戦闘洗脳プログラムを流し込んで、造り上げた。裕美に倉庫で倒される。
(登場話/エメラルド・アイ第1部)
キャメル・アイ
 組織の製造したサイボーグ。型名αU型。組織が桜華学園の生徒の健康診断のデータからピックアップした生徒を誘拐して、サイボーグ手術を行い、戦闘洗脳プログラムを流し込んで、造り上げた。生死不明。
(登場話/エメラルド・アイ第1部)
バーミリオン・アイ
 組織の製造したサイボーグ。型名αU型。八十神の婚約者・弘田香奈子にサイボーグ手術を行い、戦闘洗脳プログラムを流し込んで、造り上げた。八十神と共に墓地で爆死。
(登場話/エメラルド・アイ第1部)
シルバー・アイ
 組織の製造したサイボーグ。型名αU型。銀色の髪と瞳が特徴。組織が桜華学園の生徒の健康診断のデータからピックアップした生徒を誘拐して、サイボーグ手術を行い、戦闘洗脳プログラムを流し込んで、造り上げた。裕美にハッキングで体を乗っ取られる。
(登場話/エメラルド・アイ第1部)
強化人間
 組織に誘拐されて、改造手術を受け、人格を変えられ、肉体を強化されて、再び社会に戻された人間。その目的は兵器研究にある。本人には改造された意識がなく、自分の行動に対し、本能的であるのが特徴。藤間竜次は高二まで成績優秀な優等生だったが、組織に改造されたことで暴力性と残忍性を強化され、一年あまりで文月高校の不良生徒を仕切るまでの暴走族のリーダーに上り詰めた。
(エメラルド・アイ2第1話「暴走族」)
増殖人間
 組織が自殺未遂で脳死状態で入院している死刑囚・藍田重三に秘密裏に手術を施し、彼の体から細胞分裂するように次々と新しい彼の複製を生み出されるような体に作り替えた。
(エメラルド・アイ2第4話「復讐」)
甲虫人間
 組織の改造人間。無数の甲虫が一つに集まり、人間の形を構成し、人間の皮を被った人間。コアとなる肉食性甲虫の一匹に脳と発声装置を埋め込み、無数の甲虫を統制させている。
(エメラルド・アイ2第5話「変わり日」)
豹人間
 組織の改造人間。口から女性の性欲を異常にさせるフェロモンを吐き出し、女子生徒を次々と餌食にし、廃人にする。普段は人間の姿が、正体を現すと豹人間になる。
(エメラルド・アイ2第7話「誘惑」)
蜂人間
 組織の改造人間。無数の蜂を自由に操ることが出来、人間変身時でも自分の舌から蜂の毒を相手に仕込むことも出来る。自らも蜂に変身すると、空を飛ぶことも出来る。正体は水瀬初美。
(エメラルド・アイ2第8話「悪夢」)
蜘蛛人間(スパイダー・アイ)
 組織の改造人間。人間には変身せず、普段から蜘蛛人間のままでいる。バズーカ砲サイズの大型電子銃を武器に裕美と戦った。
(エメラルド・アイ2第10話「監禁」)
グラウヴァー
 組織が作りだした対サイボーグ破壊用の怪物犬。全身毛むくじゃらで全長三メートル。毛の一本一本に強力な磁気が帯びており、口からは精密機器を狂わせる青白い炎のようなものを吐き出す。牙も強力で人間の体を簡単に噛み千切ってしまう。
(エメラルド・アイ2第13話「魔犬グラウヴァー」)
液体人間
 組織の改造人間。人間を自らの液体の体に一端吸収し、自らの分身としてその人間を再生し、新しい仲間を呼び込むための道具として使う。再生した人間は細胞制御用の十字架を首にかけさせないと、短時間で液体に戻ってしまう。
(エメラルド・アイ2第14話「魔犬と液体人間」)
ベルナーとフランカ
 ドイツの武器商人モーリッツ・フォン・リヒターが組織の技術を得て造り上げた人造人間(アンドロイド)。全身機械の体であるため、人間の肉体をベースとするサイボーグとは異なる。
(エメラルド・アイ2第20話「水中の墓標」)
ライラック・アイ
 秦野和美に殺された水瀬初美に裕美が機械化手術を行いサイボーグ化した。内部に充電型動力システムを内蔵しており、短時間なら裕美同様、パワーセーブをオフにして、エネルギーを増幅させることが可能。その際には薄紫色の髪と瞳になる。背中にジェット・パックと折り畳み式の羽根が内蔵されており、短時間なら空を飛ぶことも出来る。
(エメラルド・アイ2第21話「決意」)
電撃怪人
 覆面博士が造り上げたゴキブリ型兵器。電話のスピーカーから電話のデータ送信音が流れると、その際、受話器を持っていた人間の背中に飛びつき、高圧電流を発生させて、一緒に燃え上がり、消滅する。
(エメラルド・アイ2第22話「電撃怪人」)
エメラルド・アイ シリーズ年表
第1部
1962/8/12 八十神忠士、生まれる
1962 黒須和馬、生まれる

1982/4/18 日高裕美、生まれる
1982 黒須、クローン人間製造を発表し、学会追放

1983/9/19 久坂喜美子、智也、生まれる

1991 八十神、世界で初めて人間のサイボーグ手術に成功

1993 八十神、組織に誘拐される

1997 桜華高校開校

1999 八十神、組織の施設から脱出
 裕美、自宅でレッド・アイに撃たれ、八十神のサイボーグ手術を受ける

2000/4-10 女子生徒連続失踪事件が桜華高校で8件起きる

2000/10/9 裕美、桜華高校に現れる
 久坂姉弟、弘田香奈子を保護

10/10[翌日] 黒田久美、サイボーグに拉致される
夜 久坂姉弟、裕美と焼却炉で張り込み

10/16[6日後] 駅のホームで喜美子、サイボークに襲われる
 病院から香奈子、サイボーグに誘拐される

10/17[翌日AM2:00] 裕美、横浜海浜公園の取引でサイボーグから香奈子を救い出す

10/18[翌日]
夜 ホテルにいた八十神、秦野警察庁長官、香奈子たち、サイボーグに襲われる

10/21[3日後]
夜 洗脳された智也、喜美子と香奈子を誘拐

10/22[翌日]
AM2:00 誘拐された喜美子と香奈子、山荘で目を覚ます
AM4:00 喜美子と香奈子、智也と高宮あゆみを連れて山荘を脱出
明け方 あゆみ、八十神の前で爆死

10/25[3日後]秦野、黒須と訣別

10/26[翌日] ファーストフード店で喜美子と八十神、再会

10/27[翌日] 喜美子たち、視聴覚室でサイボーグに襲われる
夜 秦野夫妻、組織に洗脳された娘の和美に殺害される

10/30[3日後]月曜日
裕美、学園に乗り込み、組織の計画を阻止
八十神、サイボーグ基地の墓地で爆死
黒須、裕美に倒される
第2部
1982 黒須和馬、クローン人間誕生を公表する

1989 日高裕美の両親、離婚(24話)

1991 久梨原綾(15)、八十神から機械化手術を受ける(9話)

1993/12/25 藍田に久坂姉弟の母、殺される

1999/5/12 八十神、組織の施設から脱出
 裕美、自宅でレッド・アイに撃たれ、八十神のサイボーグ手術を受ける

1999/6/21 文月高校生徒会長・塩谷自殺(18話)

1999/8/19 裕美の父・次雄(46)と恋人・田原真美子(26)、心中(24話)

2000/10 裕美と八十神、組織のクーデター計画を阻止

2000/11 久坂喜美子、智也、裕美、文月高校へ転校

2001/4 久坂姉弟、裕美、高校3年生に
 裕美、暴走族と対決(1話)
 組織から脱出した科学者と連絡を取る(2話)
 白崎、裕美の仲間に(3話)
 藍田と裕美の対決(4話)
 喜美子、甲虫人間に襲われる(5話)

2001/5
 初美、誘拐される(6話)
 初美、智也を襲う(7話)
 塚原、喜美子を襲う(7話)
 初美、再び智也を襲う(8話)
 裕美、組織に拉致される(9話)
 裕美、組織のアジトを壊滅(10話)
 秦野和美と覆面博士、登場(11話)
 初美、ビルの屋上で和美に倒される(12話)
*文月高校、中間試験
 魔犬グラウヴァー事件(13,14話)
*文月高校、体育祭

2001/6
 裕美、魔犬との対決で記憶を失う(15話)
 裕美、覆面博士と訣別(16話)
 久坂刑事、密会事件(17話)
 文月高校教師連続変死事件(18話)
 組織のサイボーグ、智也たちを襲う(18話)
 和美、覆面博士から離反し、裕美の仲間に(19話)
 初美、復活。裕美、リヒター博士と対決(20話)

2001/7
*磯口真由子、文月高校の生徒会長に就任
 久坂刑事、文月高校で事件捜査(21話)
*文月高校、期末試験
 電撃怪人事件(22話)
久梨原綾の久坂裕美に関する研究レポート
2001/8
@サイボーグαシリーズに関して
 本レポートに記載されるα○型サイボーグという型名は、八十神博士が組織在籍時に研究開発していた一連のサイボーグの型名を指し示すものであり、八十神博士が組織に誘拐される以前に研究開発を行い、その後、商品化されたフェイタル社(アメリカの医療機器メーカー)のサブボットαシリーズとは別のものである。
 また、ここで記載される【組織】とはクローン生態学の権威・黒須和馬博士が立ち上げた犯罪組織のことである。この【組織】には正式な名称がない。当初は、スポンサーであるドイツ・マフィアの依頼を受け、クローン技術を利用して特定臓器を製造し、供給していた。移植臓器ビジネスで多額の資金を得た黒須博士は、自分を学会から追放した日本社会への復讐のため、八〇年代半ばから本格的に日本転覆計画の活動を起こす。その第一歩が世界的な才能を持つ科学者の誘拐であった。八十神博士が組織に誘拐されたのが一九九三年であった。この時の八十神博士は、九一年に半身不随の患者をサイボーグ手術によって完全治療に成功させるなど世界的にも有名な存在であった。
 【組織】の八十神博士の誘拐は、【組織】にとっての一つの方向性を生み出す。それはクローン人間にサイボーグ手術を施して強力な兵器人間を大量に生産し、サイボーグ兵団を組織することであった。
 αT型サイボーグは、クローン技術によって作られ、【急速成長装置】で成人まで成長させた人間にサイボーグ手術を施し機械化した人間のことを指す。
 先に触れたように当初、黒須博士はαT型サイボーグを大量生産し、軍隊を組織して、日本を制圧することを目論んだ。
 ところが、後にαT型サイボーグには致命的な弱点があったことが露呈される。それは【急速成長装置】により幼児から三十九時間で成人まで成長させられたクローン人間は冷凍保存下でなければ、ほぼ半年しか生きられないという点である。
 そこで黒須博士はもう一つの方向性を模索する。それが既存の人間のサイボーグ化である。黒須博士は拠点を日本に移し、過去に臓器移植ためにクローン臓器を提供した日本の有力者を脅し、秘かに廃校となった学園や医療施設を次々と買収。学園の生徒を利用し、人体実験を行う。そうして、造られたのがαU型サイボーグである。
 既存の人間をサイボーグ化するためには、当然、指示に従わせるための洗脳の必要性が生ずる。そのために利用されたのが【記憶制御装置(MEMORY CONTROL UNIT)】である。
 元々は、体内に人工臓器を移植された患者のストレスや苦痛を薬を用いないで抑制することを目的に八十神博士が開発したものだが、黒須博士はそれを人間の洗脳装置として改良する。
 本装置の特徴は、脳と神経細胞を仲介し、痛みの遮断や快楽の供給、感情抑制を主な機能とする。また、脳内の記憶の部分的、完全な遮断・解放も制御できる。これにより患者にとって苦痛となる記憶を思い出させないようにすることも出来る。
 記憶制御・感情抑制された際の人格や記憶は、基本、記憶に関してはメモリーディスクが脳の記憶部の代用を行い、人格に関しては機械的な制御により行われるが、思考そのものは実際の脳が行うため、ベースとなる脳により左右される。長期に渡る記憶制御は当然、記憶制御前と後で別人格を産む。融合を行うことは可能であるが、その場合、乖離が激しいと人格障害を起こすことが懸念される。
 αU型サイボーグの開発により、寿命問題は解決されたが、ここでさらなる問題が発生する。それはαU型サイボーグとなる人間は、性別、身長、体格が限定されるという点である。既にαT型サイボーグの製造時にも、性別が女性でないと、サイボーグ化には拒否反応が出やすいと言う問題が指摘されていたが、ここでさらに適用範囲を狭められてしまう。
 そこで、それらの問題の解消のために登場するのがαV型サイボークである。
 αV型サイボーグはベースはαU型と同じ既存の人間に機械化手術を行うものだが、一つ違うのは【無限動力ユニット】の搭載である。
 【無限動力ユニット】はユニット内でエネルギー鉱石を化学反応させ、無限にエネルギーを発生させる小型動力装置で、そのエネルギーの最大値は水素爆弾に匹敵する。エネルギー鉱石の製法については、当時、単独で開発に当たった八十神博士が知るのみであり、彼が亡くなった今となっては、その製法を知るのは彼の研究データを継承したとされる久坂裕美だけである。
 黒須博士はαV型サイボーグを強力な人間爆弾として利用し、兵の少なさを補う計画であったが、計画開始前に八十神博士が研究資料と【無限動力ユニット】を手に脱獄したため、その計画は変更を余儀なくされる。
A久坂裕美の生い立ちに関して
 裕美は一九八二年四月一八日、S県の森峰大学病院で生まれる。体重三二〇〇グラム。父は当時、外資系証券会社に務めていた日高次雄、母は当時、次雄の同僚であった千草。千草の妊娠をきっかけに三ヶ月後に次雄と結婚。
 次雄と千草の夫婦は結婚当初から折り合いが悪く、裕美が七歳の時、千草が家出同然に判を押した離婚届と裕美を残して自宅を出ていく。その後、正式に千草と離婚した次雄は仕事の忙しさもあって、裕美の世話を家政婦に任せきりにし、あまり家には帰らなくなる。一九九八年、緑宝女子高校入学。この時、裕美は次雄から大学の入学金は出さないことを告げられ、学校に申請した上でコンビニでアルバイトを始める。
B八十神博士と久坂裕美の出会いの経緯について
 組織の施設を脱出した八十神博士と久坂裕美がどのようにして出会ったのか。これに関して詳細な経緯はいまだ不明であるが、当時、裕美の家で爆発事故が起こり、その後、裕美が消息を断った点、爆発事故の三十分前に裕美は仕事を終え、アルバイト先のコンビニを出たという目撃証言がある点などから、彼女が何らかの形で八十神博士を自宅で匿い、その後、組織の追っ手に自宅を襲撃されたという推測が出来る。さらにその後、八十神博士が裕美にαV型サイボーグへの機械化手術を行った点から見ると、その襲撃で裕美が致命傷を負ったことも推測できる。
C裕美のサイボーグ化手術の疑問点
 逃亡の身の八十神博士が裕美の命を助けるには、サイボーグ手術以外に手はなかったことは納得できる。しかし、八十神博士が裕美へのサイボーク手術に際し、なぜ感情制御のみならず、従来記憶の遮断を行ったのか、ここに一つの疑問が残る。
 彼が裕美の生命維持そのものを考えていたのであれば、記憶の遮断は必要ない。彼が彼女の命を助けようとしたのは明らかだが、一方で、【無限動力ユニット】のエネルギーを利用したエネルギー・コートの装備など組織に対抗するための兵器と考えていた点も伺える。
 また、裕美に【絶対記憶】を埋め込んだ点も注目される。【絶対記憶】とは所謂、人間の本能に相当する部分と同一の要素を機械的に脳内に記録するものである。この【絶対記憶】内に「どのような状況下でも自らの体内の秘密を暴き出そうとする者の干渉は拒絶し、いかなる行動を用いてもこれを阻止するために全力を尽くす」という項目がある。
 これは裕美が何らかの形で洗脳されようとも、最終的に絶対記憶によって阻止することを意味する。これにより彼女は洗脳されることはないが、彼女は永久に自分を狙う者の存在との戦いに縛られることになる。八十神博士が【絶対記憶】を彼女に埋め込んだ理由は、組織や研究を狙う者たちへの警戒感からであろうが、それにより彼女が苦しむことは想定できたはずである。
 この問題に関し、一つの見解として考えられるのは、αV技術を投入して裕美をサイボーグ化した時点で、八十神博士の状況にかかわらず、裕美は組織から狙われる存在となったため、彼女自身で組織から自分を守る力を用意する必要性があったというものである。
 それであるなら、記憶の制御も家族や友人の安否という不安要素を取り除くためという理由が成り立つ。
 いずれにしても、八十神博士が亡くなった今となってはこの疑問点を解明するのは不可能である。
D【記憶制御装置】に於ける感情抑制機能に関する問題
 久坂智也との結婚以降、裕美の記憶制御装置に若干の歪みが生じている。本来、感情制御を受けた人間は、情に流された行動はとらないはずであるが、この数ヶ月の彼女の行動には多分の情に流された行動が見受けられる。先に述べたように記憶制御装置は裕美の精神と内蔵機器の安定を図るものである。ところが、記憶制御装置が万一にもうまく機能しない場合、【無限動力】の暴走の恐れもあり、極めて危険な状態となる。
 そのため、感情抑制の強化が必要であるが、現在のところ、裕美はその策を講じてはいない。
E【無限動力】の暴走に関する問題
 裕美の内部の【無限動力】は【パワーセーブ】機能により、最小限の電力のみを供給している。【パワーセーブ】機能は裕美の音声により、オン・オフを切り替える設定で、オフにした場合、【無限動力】は段階的に最大出力まで稼働する。造り出されるエネルギーはオフ時に彼女の背中から排出され、彼女のまわりを覆うエネルギー・コートの表層面から発散される。八十神博士死後、裕美はこの機能に改良を加え、ヘソの部分のエネルギー放出バルブと電子銃をケーブルで繋ぎ、電子ビームを発射させることを可能にした。いずれにしても、このエネルギーは強力な武器ではあるが、一方で【パワーセーブ】機能オフ時には必ず体外にそのエネルギーを発散させる必要性が生じる。万一、機能オフのまま、エネルギーが体内に充満した場合、【無限動力】は爆発し、周囲に水素爆弾級の被害が生じる可能性がある。
 ゆえに【無限動力】は常に危険を内包する極めて不安定な動力機関といえる。
F裕美の行動要因に関して
 黒須博士と八十神博士の死後も裕美は依然として組織の壊滅活動を継続している。しかも、以前よりも積極的にである。この行動目的に関しては疑問が生じている。既に黒須博士を失い、組織そのものは巣で弱体化しており、大きな不安要因とはならないはずである。
 この点に関し、久坂智也との結婚が大きく関係していると思われるが、現在のところ、考える要素としては【絶対記憶】の要因を排除し、αV技術の廃棄が目的ではないかと思われる。というのも、【絶対記憶】の保護機能により【無限動力】は裕美自身にも自分の体内から取り除くことは出来ないため、αV技術の中核である【無限動力】を廃棄するためには【絶対記憶】の排除が欠かせないからである。